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「エイトの家は、どんな感じ?」
「えっ!?」
再び驚く美少年。
そして、悲しそうな表情を浮かべて俯く。
もしかして、聞いちゃいけない事だったんだろうか。
「ごめんなさい」
「え?」
エイトが、顔を上げて驚愕した。
今度は、私が謝罪した事についての驚きだ。
「なんで、君が謝るの?」
「だって……エイト君、なんだか辛そうだから。私、余計なこと言ってしまったんだって思って」
「あぁ……そうじゃないんだよ」
エイトは、苦笑した。
「僕の名前を聞いても、普通に接してくれる女の子なんて、今までいなかったからさ。家の事を言えば、エルもきっと僕をただの友人とは見てくれなくなると思って。それで、ためらったんだ」
「エイト君の家の事?」
「うん。僕の苗字は、覚えてる?」
「えと、アスタルテ……だっけ?」
「そう。それで、この国の名前は?」
突如聞かれて、私は戸惑う。
思考が一瞬止まりかけるも、必死でエイトの問いに答える為考える。
この国の名前は……
「アスタルテ……って、まさか」
「そう。僕は、アスタルテ王国の第一王子、エイト・アスタルテ」
「えぇぇぇっ!?」
驚いたってもんじゃない。
王子様に会いたい、なんて夢を見ていたら、まさか本当に会えてしまうなんて。
これは、奇跡としか言いようが無い。
「実は、僕……最近公務続きで疲れていて。城から抜け出して、静かな森で本を読んでいたんだ。そうしたら、可愛い女の子が何か言っているのが聞こえて……」
そこまで言って、エイトは何故か顔が赤くなった。
どうしたんだろうか。
女の子の言葉が聞こえて……?
"あー会ってみたいなぁー。王子様に"
ふいに、自分のセリフが蘇った。
そうだ、あの時私、そんな事を言ってたんだった!
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