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静かな森の中にある、小さなログハウス。
他に近くに家は無い。近所付き合いなんてする必要が無いし、面倒くさいからしたくもない。
そういった所に生まれた私の名前は、エルアナ・イザヨイ・マッカーダ。歳は、15歳。
金の長い髪に、エメラルドグリーンの瞳が特徴ってだけで、とくに普通の人と変わらない。
私の住む国から、かなり離れた東洋の国に住む親戚によれば、ミドルネームのイザヨイは、ためらうという意味があるらしい。
確かに、名前の通り決断力が無くて、ためらってばかりいる気がする。
そんな私は、毎日目覚ましの代わりに鳥のさえずりを聞いて目覚め、母が焼いてくれたアップルパイを食べ、父が猟でとってきてくれた巨大な猪の肉を朝食にしている。
扉を開けて外に出ると、周りには沢山の木々達がある。
目の前には、太陽の光に反射してキラキラと輝いている湖が広がっている。
そして、その湖の向こうには行った事が無いけれど、この国ーーアスタルテ王国の王や王女や、物凄く格好良い王子様なんかがいたりする、巨大な城があるのだ。
噂によれば、三千人の使用人がいるんだとか。
あとは、家にプールがあったり、部屋には暗証番号付きのロックが掛かってあって、開けるのに、100もの番号を打ち込まないといけなかったりするらしい。
お金持ちって、よく分からないな。
だけど、一度で良いから行ってみたい。
あんな素敵なお城に、まるで12時の鐘が鳴るときに帰ってしまう、あのどこかの女の子みたいに。
「あー……会ってみたいなぁ。王子様に」
その時ーー。
ガサガサガサッ、という凄い音がして、横の木から何かが降ってきた。
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