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「当たり前だよ。
そのつもりで呼んだから。
あ、スーツ!」
私は中野君のスーツのはしをしっかり握っていることに気がついた。
泣いている間に……掴んでいたんだ。
案の定、しわしわになっていた。
「ごめん…………今、
スーツにアイロンかけるね」
アイロンを取りに行こうとしたら、
中野君が柔和な顔をして、声をかけてきた。
「金山さん、
ぜんぜん、ダメじゃないですよ。
彼氏のスーツを干してあげるなんて、きちんとやっていますよ」
「や、やめてよ。
また、涙が出てきちゃうじゃない。
スーツにアイロンかけている間に
お風呂入って、ふとん敷いておくから」
なんか、言いかける中野君に__
「いいから。早くどうぞ」
お風呂に追い出した。
ふう~、あんまり……
茂明って明否定的なことばかり言っていた人だから、
ほめられるなんて、照れるわ~。
火照った顔を手でパタパタを扇いだ。
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