衝突。

4/23
465人が本棚に入れています
本棚に追加
/290ページ
   --------------古文が終わり、鞄に荷物(と言っても、勉強道具ではなく、雑誌等々ですが)を急いで詰め込んでいると、  「どうした?? そんなに急いで」  前の席の沙希が、クルっと振り向いてワタシの机に頬杖をついた。  「木崎センパイが校門で待ってるんだ。 急がないと。 待たせちゃうと・・・ねぇ」  ワタシなんかを待つ事事態嫌だろうに、遅れたりしたら木崎センパイの機嫌が損なわれてしまう。  ただでさえ嫌われてるのに、これ以上は阻止したい。  「・・・なんか、木崎センパイの下僕みたいだね。 莉子」  何故か沙希の方が機嫌を損ねてしまった。  「ん??」  「そりゃ、木崎センパイからしたら莉子は『木崎センパイの父親と不倫してる女の娘』だけどさぁ、木崎センパイだって『莉子の母親と不倫してる男の息子』じゃん。 お互い様じゃん」  沙希の言っている事は尤もで、ワタシだって最初はそう思っていた。  でも、木崎センパイとワタシとでは、事情が違う。  ワタシには、木崎センパイが背負っている責任も傷もない。  4歳から、自責の念にかられ続けている木崎センパイは、どうにも出来ない状況に、苛立って、切羽詰まっているのだと思う。
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!