169人が本棚に入れています
本棚に追加
「ヒロシ君・・
一緒に居て欲しい・・」
そう言って、水を取りに行こうとした僕を繋ぎとめた彼女。
彼女を不安にさせないために、僕は彼女の手を握って、寄り添う。
「うん・・ここに居るよ。」
「嬉しい・・・」
手を繋いで、見つめ合う。
ピッ!ピッ!ピッ!ピ・・・
心電計の音が先程よりも大きな音になっている。彼女の心臓の鼓動と連動しているのだろうか・・
「何か・・恥ずかしいな・・」
赤い顔をして彼女が洩らす(もらす)。
「興奮・・してるの?」
僕が聞く。
「うん・・
ちょっと・・
ドキドキしてる・・
ヒロシ君と居ると・・」
目を反らした彼女が恥ずかしそうに答える。
「それは・・
オレもだよ。」
自分でも、自分の心臓がドキドキしているのが分かった。
「この部屋・・
二人しか居ないんだね・・」
彼女が気づく。寝るまでは先生と彼女の「お母様」が一緒に居たのだけれど、いつの間にか居なくなっている。
僕と彼女を二人にするために気遣って部屋から出たのだろうか??
「うん・・」
ピ!!ピ!!ピ!!ピ!!
先程よりも心電計の音が大きくなっている。
更に興奮している感じがするんだけど、更に何を考えてるのだろうか??
「あ・・
あのさぁ・・
この部屋、お母様の結界が張ってあるの・・」
彼女が呟く・・
病室の四隅に盛り塩がしてある。彼女のお母様の結界は強力だという事だ。通常の霊どころか、童子の侵入までも妨害してしまうという。・・となると、僕の母も入っては来れないのか・・(パパも)
急に意識してしまう。
この病室には、中学二年生の男女・・僕と彼女しか居ない空間なのだ。
いつもは、良い時になると邪魔が入る。特に霊感ケータイからのメッセージで何度も二人の恋路を邪魔された。
最初のコメントを投稿しよう!