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彼女の握っているのと反対の手が伸びてきて、僕の頬に触れた。
「ヒロシ君だ・・」
愛おしい目で見つめられ、その瞳に吸い寄せられそうになる。
いや、そのまま吸い寄せられるように僕の手が彼女の背中に伸びる。
彼女がそっと目を閉じた。
口づけをする僕と彼女。
ピッ!!ピッ!!ピツ!!ピッ!!
心電計の音が勢いよくなっている。彼女の息も少し荒くなってきているような気がした。僕も同じ状況に気づく。
目を開けて、僕の目をじっと見つめた彼女。
「抱いて・・」
「ミナ・・」
目詰め合う僕と彼女。
彼女の背中に伸ばした手に、ぎゅっと力を入れて、彼女を引き寄せる。
フワッとして柔らかい彼女の体・・
「あ!・・・・」
彼女が短く叫んだ。
ピッ!!!ピッ!!!ピツ!!!ピッ!!!
鼓動が更に激しくなる。
僕の背中に伸びている彼女の手が僕の背中を摩る(さする)。
二人がお互いの体を確認し合う。
「あ・・
気持ちいい・・
気持ちいいよ!」
彼女が歓喜の声をあげる。
ピッ!!!!ピッ!!!!ピツ!!!!ピッ!!!!
機械音が部屋に鳴り響く。
その時・・
ガラ!!!!
「こら~~!!!!何をしてるか!!!!」
病室の扉が勢いよく開いて、先生が入って来た。
呆気にとられる僕と彼女。時間が止まる。
ピ!!ピ!!ピ!!ピ!!
機械音が虚しく部屋に響き渡る・・・・・・
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