出立 (下巻、最終章)

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(ふ~ん………) 恐らく、この雰囲気に呑まれてないのは、ラスベルと、極僅かな者達のみ。 それに、何だか暑苦しくて、並の人間だと、此処に居るだけで息苦しさを感じるんだそう。 (成る程、確かに僕でも解明出来ない文字だ、管理人専用なのかもね) ……………… だが、そんな状況下で有りながら、ラスベルは冷静だった。 「では、此より門を開きますぞ」 皆の衆、少しお下がり下され。 「………………」 「…………い、いよいよか」 「やべ、何か冷や汗が……」 …………… 全員、言われた通り、後ろに下がり始める。 「………………」 「………陛下?」 然れど、ラスベルだけは下がらない。 アルヴィナが、危険だと、半ば本気で忠告したのに………だ。 「僕は此処に居る、要らぬ心配だよ」 「…………左様で」 なら、どうなっても知りませんぞ! ズガガガガーンッ! 「くっ!?」 「こ、これはっ!」 一同、胆を冷やした。 凄まじい雷撃が魔方陣の周囲に発生。 ゲートを開くのに、相当なHEを消費するのはウソではなかった様だ。 「み、見ろっ!あ、あのブロックが勝手にっ!」 カシャン! カシャン!カシャン!カシャン! 全てではないにしろ、半分くらいの魔岩が宙に浮かび、魔方陣を取り囲む様にして、勝手に連結を始める。 雷撃もそうだが、離れてなければ、岩と岩に挟まれ、潰されてたかも知れない。
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