出立 (下巻、最終章)

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また、今回のHE消費に関しては、予め貯蔵されていたらしい。 もちろん、それはアルヴィナしか知らないことであるが……… 「エンド・ラヒューム・バラドル」 因って、恐らく彼女が表世界で集めたHEは、ここでは全く使用されていないと思われる。 「ダイダロス・ザ・モール………」 ……………… 連結が止まり、アルヴィナが詠唱に入っていた。 ぶつぶつと、ぶつぶつと。 「ヒューバレン・フォト・リート」 「………………」 やはり、誰も知らない言葉。 ラスベルは無事だが、どうも様子が可笑しい。 いつになく真剣に、アルヴィナの様子をずっと見つめているような……… 「サモン・アナザー!」 それから、どれくらいだろうか? 多分数分、いや、5分くらいの時間だったと思われる。 結構な長さの詠唱が終わり、漸く彼女の動きが変わった。 「さぁ、これで………」 ……………… これで、準備万端。 後は、この鍵で、門を開ければ裏世界への扉が開く………… 正に、その瞬間であった。 「ハァアアアアッ!」 「っ!!?」 ドカッ! 「なっ!?」 「え、な、なんで!?」 ……………… 電光石火。 やられた。 やられた。 ここまで狙っていたなんて……… 「クククッ」 「が、が、かはっ……」 ラスベル、粋なり竜人化し、目にも止まらぬ速さにて、アルヴィナを強襲。 その動きは、この場の誰もが手出し出来ないレベルだった。
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