出立 (下巻、最終章)

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だから、どうしようもない。 本当に、成す術がなかったのだ。 ……………… 「クククッ、これだろう?」 「グ、フッ、が、ガハッ」 ラスベルが、ここぞとばかりに見せつけるは、ゲートを開く為の鍵。 それが、どんな形状で、どんなモノなのかなんて、アルヴィナとミミしか知らないコト。 いや、そもそも、開くのに鍵が必要だってことも…… …………… 「ガハッ、ぐっ、お、おのれ!な、何故っ!?」 何故、鍵の存在を貴様が? 苦しそうに胸を抑え、アルヴィナはラスベルを睨み付けている。 しかし、それは少し予想と違っていた。 「ふふっ、存在なんて知らないよ、でも、もしかしたら…って思ってね?」 「な、なんだ………と?」 「アルヴィナさぁ、ちょっと僕を侮り過ぎたね、サクヤってのは、ゲートを開ける一族なんだろ?」 「っ!?」 しまった。 まさか、そこまで知恵が回るとは思っていなかったのか。 (こ、こやつ!!) 彼女は、裏世界へ引き込もうとするあまり、ついつい余計なコトまで喋り過ぎたのだ。 「あははっ、だったらちょっと可笑しいよねぇ?」 だって、君は向こうでお尋ね者なンだろ? もし、僕がサクヤなら、取引云々の前に、自らゲートを開いて追ってくる。 「仮に、何か理由があっても、最初は間違いなく激怒して、君を捕まえに来ようとしたハズだ」 「ぐっ………」 「でも、サクヤは来なかった、なンでかな?ゲートを開ける一族なのに」 …………… つまり、ゲートを開くには、管理一族が持つ呪文や血系等に加えて、まだ他にも必要なモノがあったという事。 ククッ、そうは思わないカイ? 「答え、サクヤは必要な道具を持っていなかったからじゃない?違う?」 「……………」 その通り。 だから、ラスベルは狙っていた。 虎視眈々と、その何かを。
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