908人が本棚に入れています
本棚に追加
だから、どうしようもない。
本当に、成す術がなかったのだ。
………………
「クククッ、これだろう?」
「グ、フッ、が、ガハッ」
ラスベルが、ここぞとばかりに見せつけるは、ゲートを開く為の鍵。
それが、どんな形状で、どんなモノなのかなんて、アルヴィナとミミしか知らないコト。
いや、そもそも、開くのに鍵が必要だってことも……
……………
「ガハッ、ぐっ、お、おのれ!な、何故っ!?」
何故、鍵の存在を貴様が?
苦しそうに胸を抑え、アルヴィナはラスベルを睨み付けている。
しかし、それは少し予想と違っていた。
「ふふっ、存在なんて知らないよ、でも、もしかしたら…って思ってね?」
「な、なんだ………と?」
「アルヴィナさぁ、ちょっと僕を侮り過ぎたね、サクヤってのは、ゲートを開ける一族なんだろ?」
「っ!?」
しまった。
まさか、そこまで知恵が回るとは思っていなかったのか。
(こ、こやつ!!)
彼女は、裏世界へ引き込もうとするあまり、ついつい余計なコトまで喋り過ぎたのだ。
「あははっ、だったらちょっと可笑しいよねぇ?」
だって、君は向こうでお尋ね者なンだろ?
もし、僕がサクヤなら、取引云々の前に、自らゲートを開いて追ってくる。
「仮に、何か理由があっても、最初は間違いなく激怒して、君を捕まえに来ようとしたハズだ」
「ぐっ………」
「でも、サクヤは来なかった、なンでかな?ゲートを開ける一族なのに」
……………
つまり、ゲートを開くには、管理一族が持つ呪文や血系等に加えて、まだ他にも必要なモノがあったという事。
ククッ、そうは思わないカイ?
「答え、サクヤは必要な道具を持っていなかったからじゃない?違う?」
「……………」
その通り。
だから、ラスベルは狙っていた。
虎視眈々と、その何かを。
最初のコメントを投稿しよう!