出立 (下巻、最終章)

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(ど、どうやら、甘くみてたようじゃ) この男、中々やる。 ただのキチ○イじゃない。 もしかしたら、五年の間で、何度となく命を狙われて来たからこそ、自然と身に付いた自己防衛判断なのかも知れないが………… (………だとしても、鍵の存在すら、見抜くとはのぅ?) このアルヴィナ、不覚であった……と。 彼女にして、それほど嘆いたというから、本当に大したモノだ。 ……………… 「玉かい………コレ?」 ラスベルは、アルヴィナから奪った小さめの玉を眺めて、これは何かと質問する。 「……………」 もちろん、彼女は何も答えず、最初は胸を抑えて黙っていたのだが……… 「あのさぁ、解るよね?バカじゃないのなら」 「………………」 そう言われては、竜眼を光らされては、流石に答えざるを得ない。 無論、わかっておる。 もう、手出し出来ないコトなんて。 間を空けたのは、単に、貴様を睨む時間が欲しかっただけだと………… 「………玉、ではなく、幻魂玉です」 「ゲンコンダマ?」 やがて、仕方なしに玉の名前を教えたアルヴィナ。 「へ~、ちょっと楕円形な、タマゴみたいなコレが?」 変な名前だね。 玉みたいだけど、これがゲートの鍵なんでしょ? 「………です、それは世界で一つしかない秘宝でございますぞ?」 「…………一つ?」 ここでアルヴィナ、腹いせに平然と嘘をつく。 本当は二つ存在していて、残りはミミが持っているのだが、何もバカ正直に教える必要はないワケで………
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