出立 (下巻、最終章)

106/109
前へ
/2807ページ
次へ
………………… 悔しいが……… 本当に悔やしいが、仰る通りだった。 これで、例えばラスベルを騙し、ミミに頼んで表世界に逃げて来たとしても………… (裏にはサクヤがおるでの、妹を従えさせるのは容易ではなかろうが………) そう、彼女に頼んで、ゲートを開く事が可能に。 また、仮にサクヤが強く、ラスベルの言うことを聞かなかったとしても、結託されたら、やっぱりゲートは開かれてしまうワケで……… 性格的に、絶対それはないと思えど、もうこれで、ラスベルを裏に閉じ込める技は使えなくなったと言える。 ……………… 「解ったカイ?解ったのなら、さっさと鍵の使い方を教えなよ」 「……………中央の」 アルヴィナは、もう諦めた。 流石にラスベルに持たれたら、それこそ倒すまで、鍵は取り返せないだろうから。 「中央?」 「ハイ、私の呪文にて、真ん中に小さな穴が開いてるハズ、そこに幻魂玉を差し込んで下され」 「あ~、あった、あった、これか」 ……………… (くそ、じゃからどうした、裏技なんぞ使うつもりもなかったわ) こうなった以上、もう裏世界で必ず奴を仕留めるしかない。 そして、アルヴィナを含む、ここにいる殆どの人が、同じ事を思っていた。
/2807ページ

最初のコメントを投稿しよう!

908人が本棚に入れています
本棚に追加