第2章

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浩介は下調べしていた鉄道で市内へ出るとにした。 鉄道駅は空港に直結していて、初めての浩介でも何なくたどり着くことが出来た。 自動券売機の列に並び、自分の番がくると、モニターをタッチした。 「ええっと・・・まずはオスロ中央駅まで出るから・・・」 人差指を迷わせてはみたものの、全てノルウェー語表示で意味が推測できない。 そうこうしているうちに、自分の後ろの列がどんどん長くなってきているのを背中で感じ、浩介は軽いパニックに陥った。 「オスロ中央、オスロ中央・・・」 ブツブツと独り言を言っていると、右手背後から、太くて皺の深い右手がニョキっと現れ、モニター上にある右上のマークを押した。 その瞬間、パッと画面が見慣れたスペルに変わる。 「英語表記のボタンは大抵このあたりにあるから。」 浩介が振り返ると、自分と同じ位の身長で、少し太った白髪の初老の男性が、鼻の頭を赤らめてニコニコしながら頷いていた。 「あ、ありがとうございます。」 「旅行者かな?だったらオスロ中央駅まで行くんだろ?・・・なら、このボタンだ。」 ゆっくりと聞き取りやすい英語で、その老人は目的地のボタンをしっかりと押した。 「ありがとうございます。」 「グッドラック。良い旅を。」 そう言って老人は、今度は自分が切符を購入するための紙幣を取り出そうと財布をゴソゴソやり始めた。 浩介は、老人の後ろに溜まった長蛇の列を見てハッとし、切符を取り出すと、そそくさと券売機を離れた。 プラットホームに降りると、電車はもう来ていて、さっきの老人が降りてこないかとエスカレーターを見上げた浩介だったが、発車を知らせる構内放送に急かされるがままに電車に飛び乗った。 静かにドアが閉まり、列車が動き始めた。 スカスカの電車の中から、何となく良さそうな席を見つくろい、浩介は腰を下ろした。 電車はレールを全く感じさせないほど滑らかに進み、まるで未来のリニアモータカーに乗っているような感覚だった。 「中央駅まで出たら、そこから地下鉄でホステルに行けばいいんだな。」 これからの行程を小さく呟き確認する。 その様子を5列程後ろの席に座った雪女郎と狐狸精が頭を乗り出し監視する。 「とりあえず電車には乗れたようだな。」 「私が助けてあげようと思ったのにぃ。さっきのジジィのせいで出る幕ないじゃない。」
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