残業と彼

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「信じられない…」と呟いた彼女は私に同情の眼差しを向けると、自分のパソコンに向き直った。 私だって信じられないですよ。 私はちらっと彼、見城大成(けんじょう たいせい)を盗み見る。 彼は私が頼み事をする前とまったくかわらない様子で仕事を続けていた。 こっち向け~、こっち向け~、コノヤロー。 む~んと念を送ってみるが、まったくもって効果なし。 …やめよう。虚しくなってきた。 それよりも今、早急に対応すべきは、この書類。 厚さにして五センチ以上はある。
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