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駆け寄ってきた主に、少し感動を覚えながら、ヴェドは追いかけようと立ち上がる。
「そんなことより、追いかけないと…!!」
曲がりなりにも王の血を宿す主の連れに手を出したのだ。これは身柄を捕らえて事情を説明させなければと、主を促しながしたのだが。
『いいや、無事ならばいいんだ。
何か持ち出したようには見えなかったしな―…』
す、と色白で細長い指が伸びてきて。
ほんの少しドキ、とヴェドの心をくすぐったのだが、次の瞬間それに勝る殺意が芽生えて。
『…よかった。どこも傷ついていないな。
私の衣装ケース…!』
「・・・・・・・・ッこの…!!!大馬鹿君主…!」
そんな一軒お笑いとも取れるやりとりをみるや、あがるのは荷引きの馬の嘶きだけだった。
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