プロローグ

11/11
前へ
/13ページ
次へ
駆け寄ってきた主に、少し感動を覚えながら、ヴェドは追いかけようと立ち上がる。 「そんなことより、追いかけないと…!!」 曲がりなりにも王の血を宿す主の連れに手を出したのだ。これは身柄を捕らえて事情を説明させなければと、主を促しながしたのだが。 『いいや、無事ならばいいんだ。  何か持ち出したようには見えなかったしな―…』 す、と色白で細長い指が伸びてきて。 ほんの少しドキ、とヴェドの心をくすぐったのだが、次の瞬間それに勝る殺意が芽生えて。 『…よかった。どこも傷ついていないな。  私の衣装ケース…!』 「・・・・・・・・ッこの…!!!大馬鹿君主…!」 そんな一軒お笑いとも取れるやりとりをみるや、あがるのは荷引きの馬の嘶きだけだった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加