プロローグ

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目深にかぶった鮮やかな緑の兵帽には、ガーネットか何か赤い宝石と銀の装飾が施されている。その容姿を隠す前髪は中央が長く、鼻にかかった漆黒。 首元にはシミひとつない白のストールと、何か紋様をかたどったチョーカー。その身を包むのは兵帽と同色の、鮮やかな緑の兵服。その縁は兵帽の宝石と同様、銀で飾られていた。 そう、必要以上に身なりが良すぎるのだ。 悪さをしないよう祈りながら、トムネルはしばしその二人と子供を目の端でちらちらとうかがっていると。 ――バンッ? スキンヘッドは逆上したように壁に張り手をかました。 どうやら、ポソポソと喋る子供がスキンヘッドに何かしら反論したらしい。 相変わらずうつむき加減で喋る子供。 その会話のうちは、この店のざわめきにかき消されてしまってトムネルには聞こえなかった。 「…嘘つくんじゃねぇ!!  チビ、お前この上の階にいった男女の事を見ただろう!!?  関係ないならなぜ道を開けない?!」
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