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感情任せにスキンヘッド1が喚いている。
「…ですから、何もみていないし、あなたのような巨漢がいったら迷惑でしょう。
見るからに、宿泊客には見えませんしね」
目もあわせずにポソポソと話す子供に、ついに苛立ちを露にしてブルブル震えているスキンヘッド2が、ついに
「いい加減にしろよ、ガキが!!!!!!」
ボンレスハムみたいな右腕を振りかざし、子供相手に一発食らわそうとした。
「おいおい、レッチャ、サーチャー。子供相手に店を壊さないでくれ―…」
よ、と言いかけたトムネルの言葉もむなしく、その一撃は振り下ろされた。
――が、それは子供相手ではない。
二回へ上る唯一の手段、階段の4段目あたりまで、だ。
では子供は?というと、我が目を疑っているスキンヘッド―レッチャ、サーチャーの真後ろにひらりと着地する鮮やかな緑の影が。
「な―――――…!!」
我が目を疑っているのは、レッチャ、サーチャーだけではなかった。さっきまで馬鹿騒ぎしていた連中も、イカサマ師に一発食らわしてやろうとしていたやからも、一瞬にしてその光景に釘付けになる。
「…そろそろ限界かなぁ…」
ぽそ、と子供がつぶやくと、レッチャ、サーチャーの間をかいくぐって、二階に駆け上がっていった。
その足は本当に子供か?という目にも留まらない勢いで。
「…おい、あのチビ、二階に―…!」
「…糞!!!!やられた!!!」
子供を追うべく、ハゲの肉団子が我先にとただでさえ狭い階段にギュウギュウ詰になった。
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