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さきほどスキンヘッド肉団子二体に絡まれていた子供が、ここぞとばかりに乱入してきた。
「なんだヴェド…
“おたのしみはこれから"だというのに…」
すっかり気分をぶち壊されたセルシュ、と呼ばれた眉目秀麗な男は、後ろの女に内掛けをかけてやって。
「とにかくっ!
嗅ぎつけられたみたいですよ。
そちらのお人も、はやめにヅラかったほうがいいですっ
…てちょっと!!
セルシュ様全裸でうろつかない!!!!」
「しかたがなかろうが。
乗り気でそのへんに脱ぎ捨てたのだから…
…嗚呼、確かに。あいつは不味いかな」
小窓から覗けば、店通りが見えた。
おまけに、ハゲで肉団子で、おまけに立派な牛のような馬にまたがった大巨漢が陣取って店の主人と一揉めしていた。
女もそれにならって覗いて見れば、うげ、という表情に一変して。
「アーチャー?!」
…どうやらこの女、あのはげ肉団子団のボスと面識があるようで。
「知人か?」
とセルシュが聞けば、
「この町によく訪れる賊のボスよ…
あいつ…まだ引きずってるのかしら」
爪を噛みそうにして、女は迅速に荷物をまとめると、
「じゃ、じゃあね。旅人さん♪
素敵な時間をありがとう、貴方も逃げるなら今よ。
裏口なら嗅ぎ付けられることはないから、そっちから出て行きなさいね」
貴方みたいないい男、死なすにはもったいないから―と、深い意味合いな言葉を残して、女は出て行った。
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