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「…早っ」
あんぐりとしてヴェド、と先ほど呼ばれた子供はそうつぶやいた。
「早とかいうな。町場の女はあんなもんだ」
舌打ちして、セルシュはどうせなら町3つ4つつれて歩ける娘をひっかければよかったと吐き出してみる。
「馬鹿なこと言ってないで、さっさと服着てくださいよ!
まったく…時期王であろうおかたがこんなんじゃ、僕過労と心配で早死にしてしまいますっ」
きゃんきゃん喚くヴェドに、セルシュがやさしく頭をなでると。
「可愛い眷族にそこまで思われるとは…俺もまだまだ捨てたものではないな」
きれいな微笑に、ヴェドが見惚れて一黙すれば。
「ま、またそんな事いって!!!
もうセルシュ様のペースにはだまされませんからねっ!!!!」
またもや舌打ちするセルシュだった。
「旅の者がいるってのは―ここかァ」
聞きなれないしゃがれた声が戸の向こうから覗いていた。
ベキベキと音をたてながら、おまけに黒塗りの戸を剥ぎ出す。
…先ほどいた女が言っていた、アーチャーなる肉団子―もとい、スキンヘッドの賊のボスだ。
よくもまぁあの細道の階段を通れたなぁと思いながら、いまだ上裸のセルシュと、見まがえるヴェド。
アーチャーと呼ばれる肉団子は、セルシュを見た途端に何か察したらしく。
「お前かァァ、俺の女を横取りしたのはァァァ!!!」
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