プロローグ

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おもわず小窓に駆け寄ったトムネルは、飛び落ちた二人に叫んだ。 落ちていく二人、セルシュの口元は笑みを浮かべて、 「…二階。それが何だ?  こんな高さ苦でもなんともないぞ――全く、  人間の物差しで計られては困る――…」 その言葉と、その艶やかな口元が、トムネルの瞳に焼きついた。 ダンッ!!! と音を立てて着地した二人は、怯みもなく人ごみをすり抜けて駆けていった。 トムネルが放心している後ろ、ついに耐えられなくなった床がこれ異常ない悲鳴を上げて、アーチャーは真っ逆さまに落ちているなど、いまのトムネルにとってはどうでもいいことであった。
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