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プロローグ
北西に位置するシュバルツ・ロンド――…
そこはいまだフロンティアで、あたるかあたらないかのゴールドラッシュに燃えた荒くれ共が集まってくる。
このBAR兼宿屋のNightwall《ナイトウォール》にも、そんな客は少なくなかった。
店では安酒と博打、野次と喧嘩が飛び交い、非常ににぎやかで。狩った獣の皮で身を包んだ筋骨隆々のハゲ―もといスキンヘッドの賊たちや、この天候不安定な土地にはいまひとつ不似合いなガンマン、成金賊目当ての娘たち――すべてが宿屋の主・トムネルのなじみの顔だ。
…そんななかいつもと違うのは、二階の宿部屋階段に座る、小さな影だ。
子供。
こんなまがりなりにも温厚な奴らはいない店には浮いた存在だった。
まして、この町自体に子供の影が少ないのだからなおさらだ。
トムネルがカウンターに来た見るからに賊っぽい男と話していると、子供に近寄る影が二つ。にやついたスキンヘッド二体が、子供を囲んだ。
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