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『カムイ、別れたい。』
「………………………。」
スマホの向こう。耳元に響くのは、ずっと好きな人の声。
俺を好きだといい。俺の名前を呼び。
いつでも俺を求めたあの声が。
今。別れの言葉を紡いで。
俺を、地獄の底へ落とそうとしている。
俺の恋人、サトル。いや、もう、あっちは恋人とは思ってないか。
そう、思いながら。自分の考えに自分で落ち込むという、馬鹿なことをしている事に気付く。
俺とサトルは、高校からの友達で。
俺は、出逢ってすぐ、サトルに惚れた。
言うつもりは、なかった。
だけど。高校の卒業の日。サトルから、俺が好きだって告られて。
俺たちは付き合うようになった。
あれから、2年。
同じ大学に進んだとはいえ、学部が違った俺たちは、校舎も違って。
すれ違いながらも、俺たちなりに、愛を育んできたはずだった。
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