馬の手入れ

2/2
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
毛並みにそってブラシを当てる 毛が抜ける 薄い毛だけが残って光沢が出る きれいになる 楽しい もっと抜いてみたくなる 硬いブラシを逆立てて押し付ける ゆっくり引っ張る 毛がごっそり抜ける 磨きたての靴みたく輝き始める 楽しい 全身光らせたくなる 両手にブラシを持つ 所構わずこする あれよあれよと毛が抜けおちる どこもかしこも漆塗りのように光り出す 触ればつるつるしているだろうな、という感覚を 見る人すべてに与える 毛に当たって乱反射する、陽の光がその質感を助ける ふふふ とても楽しい 歩かせる はちきれんばかりに肢体が弾む 光る馬体に羨望のまなざしが集まる 称賛の声が飛ぶ 誇らしい 嬉しい やっぱり楽しい 馬房に入れようとする 立ち止まる 俺の体で顔を掻きたがる 寄せてくる額に手を当てる そっと撫でおろす やっぱり毛が抜ける 毛が抜ける 光沢が出る とてもきれいになる ふふふふふふ 極限に楽しい 常人には理解できないだろう 僕と馬との 変態的なコミュニケーション 抜ける毛の数だけ 注ぐ愛情 昂ぶる感情
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!