0人が本棚に入れています
本棚に追加
キモトの後を追うことがひどくリスキーに思える。
自分たちが勝手に盛り上がっているだけで、まったく的外れなことをしているかもしれないのだ。
マコトは急に恥ずかしくなってきた。
一番いいのは、今日はおとなしく家に帰り、冷静になって後日出直すという方法だ。
はっきり言って出直したところで再びキモトを見つけられるという保証はない。というか、土地勘のない隣の校区で一人の子を見つけるのは恐らく無理であろう。
チャンスが今しかないというのは事実だ。
しかしやはりそれを差し引いてもここで追いかけるのは得策とは思えない。一日中歩き回っていた自分たちにはきっと判断力が欠けている。一度休んで冷静になるべきだ。
マコトが結論をだすと同時に、ハルキがふと何かを思い出したような顔をした。
「ところでマコト、今何時だ?」
――!!
「18時半……!」
抜かっていた。ここで時間を使いすぎてしまった。いや、最後に時計を確認してからキモト達を見つけるまでにもいくらか時間を消費していたのだ。そこが抜けていた。
正確にはまだ25分前だが、ほぼ30分である。どうあがいても家まで間に合わない。
マコトの中で何かが吹っ切れた。
「しかたがない!キモトを追いかけて、『かがみ様』の手がかりを見つけて帰ろう!」
どっちにしろ今日は間に合わない。ならばここで手がかりを見つけ今後に活かすべきだ。
マコトの中に残っていた判断力と欠片ほどの冷静さは、すでに跡形もなくなっていた。
「よっしゃ。やっぱそうだよな」
ハルキは今日一番の元気になっていた。自分では気づいていないが、マコトも高揚感に包まれていた。
最初のコメントを投稿しよう!