第1章

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 キモト達が二人の前を通り過ぎてから時間が経っている。  マコトは急いで二人の消えた道へ向かうが、やはりその先にキモト達はいなかった。 「うーん、これは見つけるの大変かもよ」  呆れたことにハルキは早速心が折れかけている。  だがハルキの言う通り、二人を追うのは困難かもしれない。周りに建物が多いため、どうも見渡しが利き難い。おまけにマコトとハルキにはこの辺りの土地勘がないのだ。 「反対の道ならちょっとはわかるんだけどなあ」  マコトは後ろに目をやった。  昔通っていた塾がある道。そちらは少し行くと大きな通りに繋がっている。その角にマコトの通っていた塾があった。  その大通りを使って車で送り迎えされていたため、そちらなら多少は覚えがある。  そういえば親からも塾の先生からも、あまりこちらの道には行くなと言われていた。住宅や主立った施設がないため人通りが極端に少ないらしい。  その言いつけを守り、迎えを待つ間に塾の友達と遊びつつも、先ほどの分かれ道を目印にこちらへ行きすぎないようにしていたことをマコトは思い出していた。  確かに子供を歩かせたい道には見えない。軽く見渡しても古ぼけた小さなビルが並んでいるだけだ。すでに明かりが消え、真っ暗になっている建物もある。いや、もしかしたらそもそも使われていないのかもしれない。  よく見るとこの先も同じようになっている。  日が沈みかけのこの時間には進みたくない道であった。 「でもなんか」  雰囲気がある。マコトは最後の言葉を飲み込んだ。  まさに自分たちが今研究している都市伝説に行き会ってしまうような、そんな不気味で危ない雰囲気がここにはあった。  やはりキモト達は「かがみ様」を調べているんじゃないだろうか。こんなところをこんな時間に歩いているなんて、そうでもなければ考えられない。マコトの中に小さな希望が生まれた。しかし同時に恐怖も感じていた。  都市伝説を信じているわけではない。しかし、このいかにもな道を前にすると足がすくむ。あるはずのない都市伝説をつい恐れてしまう。  恐らく口に出してしまえば、それを実感してしまうだろう。きっとハルキにもこの不安が伝染する。そうしたら進めなくなってしまう。  言ってはダメだ。  ハルキもなにかしら思っているところがあるのだろうが、口には出さなかった。
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