第1章

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 脇道は左右にある小さなビルの幅一つ分ほどしか続いていなかった。しかし、その先は行き止まりではなく階段になっている。ここは一度通り過ぎた時に覗いているが、そのときの様子と変わっていない。  流し見では気が付かなかったが、石でできた古臭い階段は、さらに先にある山へ繋がっているように見える。だが階段は、路地裏に対して横向きに伸びているため通路の端で見切れてしまっていて、ここからでははっきりとは先がわからない。 「誰もいないな」  ハルキがぽつりと呟く。  確かに誰もいない。この狭く短い路地裏で人を見落とすはずもない。  ネコ一匹いない、ゴミが散ったただの薄暗い道であった。 「まだ奥があることはあるけど……。さすがにこの時間に山登りはダメだな」  そう言いつつもハルキは階段の方へ歩いていた。 「おおお、なんかそれっぽい場所があるぞ」  階段の先を確認したハルキが興奮した声を上げる。    それっぽい場所?マコトも慌ててハルキの後を追う。  ハルキの指さす方を覗き込むと、なるほど「それっぽい場所」である。  ここからでは見上げる形になりほとんど見えないが、階段の先はあまり長くは続いておらず、その先は山を削った平らな広場のようになっている。どうやら、ずっと山のてっぺんまで続いている道ではなかったようだ。 「あそこなんだろう。公園かな?」  何気なく口に出してみたが、少なくともここからでは遊具のようなものは見えない。広さもそこまでではない。そもそもこんな場所に公園があるのだろうか。  とすると畑にでもなっているのかも。最近では減ってきているという話だが、それでもまだこの辺りでは数多く残っている。  とりあえず危険ではないだろうと判断し、マコトとハルキは階段を上っていく。
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