プロローグ

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 この辺りには「かがみ様」という都市伝説があります。  どうも私の聞いた話では、お父さんお母さんが私と同じ小学生の頃からある都市伝説の様なのです。  私としては、そんな噂話が親の代から続いているなんて珍しく感じるものなのですが、お父さん曰く都市伝説とはそういうものなのだそうです。  ただ、やはり時の流れとともに噂の内容も少しずつ変化しているようで、お父さんの言葉を借りるなら「細かい部分は時代の背景に合わせて変化するが、要するにかがみ様に鏡の中に連れ込まれてしまうというところがこの話のキモ」なのだとか。  都市伝説というものは度々話題になり小さなブームを生むようで、過去には「口裂け女」「人面犬」などが話題になったそうです。  これらは今でも名前は知られていますが、やはり所詮は都市伝説です。一過性のブームに過ぎません。  それなのに「かがみ様」は、地域限定ではありますが、今でも私達小学生の話題の中心にいます。勇気ある男子によって「かがみ様捜索隊」がいくつも組まれ、毎年夏休みが明けると「かがみ様」を題材にした自由研究が数多く教卓に並びます。  都市伝説は長く語られるものだと笑うお父さんに、昔から今までこんなにも色褪せず話題の中心にいる都市伝説があるのかと聞いてみたかったのですが、その様子を口にすること、また、お父さんの答えが怖く、結局聞けずじまいでした。  そんなことが今になって、まるで走馬灯のように思い出されます。
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