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「お!」
マコトの前を歩いていたハルキが声を上げて立ち止まった。
「どうしたの?」
マコトはハルキの横に並ぶ。見ると、じっと前を見つめるハルキの視線の先に誰かいることがわかった。
目を凝らして見ると二人組の女の子らしい。
マコト達の先、T字路になっている道をマコト達を横切る形で歩いている。
「いつの間にかこんなとこまで来ちゃったなあ。これは帰るの大変だよ」
マコトはこの分かれ道に見覚えがあった。
小学3年生の頃まで、この先を右に曲がったところにある学習塾に通っていたのだ。
記憶が正しければ、ここはマコトやハルキの家から学校を挟んで真反対に位置しているはずだ。恐らくは学校の区画外、隣の小学校の校区だろう。
「ほんとにもう帰ろう。さすがに怒られるよ」
「いやいやちょっと待てって」
マコトの提案は興奮気味のハルキによって遮られてしまった。
「今の見ただろ?」
ハルキは何か重大な発見をしたようだが、マコトには心当たりがなかった。
それよりも時間が心配だった。ここから自転車を置いている学校まで20分、そこから更に自転車で家まで5分と考えるとここでのんびりしている暇はない。
「今のって、ただの女子二人でしょ?そんなことよりもう帰らないと。うちは18時半を過ぎると怒られるの知ってるだろ」
「そう!それだよ。女子二人」
マコトとしては、何も珍しいものは見ていない早く帰るぞという意味の言葉であったが、どうやらハルキの望んだ答えだったらしい。
「片方に見覚えあるだろ?去年引っ越してった木本だ。木本里美」
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