0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
札幌の発寒川の里に
とうとうと名づけた店がある
十年の歳月に亘り心を和ませ
新たの出会いを生む
カウンターの二つ目の
いつもの指定席
専用のカップで新聞を読みながら
飲むコーヒーの美味さ
タバコに火をつけて今日もまた
一日が終わるのか
シャッターを下ろしたままの月曜日
あてどなく街をさすらい
タバコだけを買って家路を行く
昼はカフェ、夜はスナック
六時を境に彩を変えて行く
姉から妹に引き継がれ
新たな十年へ再び旅を重ねる
春には春の、夏には夏の
秋には秋の、冬には冬の
春の黄昏に店は
夜のスナックに衣替え
夏の陽射しにドアは開け放たれ
秋の終わり近づく頃暖房を恋しがり
冬の日暮にとうとうと雪灯りともり
スナックの喧騒が明け方まで続く
疲れた顔を見せず
満遍なく愛想を振りまき
積み重ねた歳月が
看板の重みを増していく
幸から愛へ告がれるバトン
とうとうと流れる風に揺れて
とうとうとそびえたつ
澪標に支えられ
とうとうと流れる歳月
いざ、いかん
最初のコメントを投稿しよう!