第1章

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俺の名前は國本靖之 くにもとやすゆき しがない学生だ。名前負けしているような体躯をし ていて、成績も中の上程度の普通の学生だ。そう、そのはずなのに何故俺はこんなにも不幸なんだ・・・。 「待てやクソガキイィィィィィィ!!!」「なんで!なんでこうなるのおぉぉぉぉ!!!」拝啓、父さん俺は現在・・・不良の集団に追いかけられています。その理由はといいますと、分かりません!何でって?俺にもわからねえよ!!え?なんで俺追いかけられてるの?だって俺、すれ違っただけだよね?何もしてないよね?そうだよね?なんか自分で言ってて自信がなくなってきた!とりあえず俺にできることは一つ逃げることですよね?などと現実逃避をしつつ逃げていたら交番が見えてきた。「よっしゃ!もう少しだ!」と叫んでラストスパートを掛けようとしたら足元に地面の感触がない。驚いて下を見ると、マンホールのふたが開いていた。どうやら工事中だったらしい。とこんなここを考えているうちに俺の体はどんどん下に落ちている。だがこんな時でも冷静に物事を考えられるのは、この程度の不幸は日常茶飯事だからだ。 たとえば、買い物に行けば混む時間帯でないにもかかわらず、レジには長蛇の列が、ようやくレジにつけば、レシートの紙が切れ、取り換えが終わったかと思えば紙詰まりを起こし、隣のレジに回されようやく買い物を終えたかと思えば、来るときにはなかった地面のへこみに足をとられコケ、散らばったものを片付けようとすれば、本来通るはずのない大型トラックにほとんどのものを踏みつぶされるといったことが起こる。さらにこれだけでは済まない。帰ろうとすれば、9割ほどの割合で警察に声をかけられ、何もしていないのに補導される。数時間後に解放されたかと思えば、持ってきてもらったはずの自転車がなくなっていて、どうしたのか聞いてみれば、誤ってほかの見回りの警察官に貸してしまったといわれ、その警察官に問い合わせてみれば盗まれている。(探してもらっても見つかったことがない)しょうがないので歩いて帰る。これが俺の日常である。なぜか家の中ではこの不幸は起きないので、基本は引きこもっている。
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