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「いや、別に。俺の気持ちを話したところで、モテモテ馬鹿な青山先生に理解出来るかなーと思いまして」
「言ってくれれば分かるっつーの。俺、理系だから『察する』とか無理だけど」
『察する』事が出来ないのを理系のせいにするしな、青山先生。
天然なのか、子供っぽいのか。
なんか、青山先生ってサヤ子先生に似てるよな。あぁ、だから俺は2人とも好きなのか。
「キスしたのは・・・『桜井先生の淋しさを薄めてあげるから、俺の淋しさも埋めて下さいよ』って事です。最低でしょ?? 俺」
だっせーな、俺。自分に呆れて、笑いながら溜息が溢れた。
「・・・違うと思うな」
「は??」
イヤイヤイヤ、俺がそうだって言ってんのに何『違う』とか言ってるの、青山先生。
予期せぬ青山先生の言葉に、若干遠い目をしていたであろう俺の目は、完全に青山先生にピントを合わせた。
「俺、結果的に瑠美をサヤ子の代わりみたいに扱ってしまってたわけじゃん。その事知ってる安田が、瑠美を利用するみたいな事は絶対にしないはず」
「・・・何その確信。俺、超しょーもナイ人間ッスよ」
青山先生は俺の事を過大評価しすぎ。
『いいヤツ』って思われるのは素直に嬉しいけど・・・実際違うし。
「瑠美を好きかどうかは、まぁ、置いといてさ。安田、最近瑠美の事いっつも見てるじゃん?? 『利用したいだけの女』をあんなに目で追ったりするかなー、普通」
「・・・後ろめたいからですよ。利用しちゃったから、桜井先生が辛い時とか淋しい時とかに、俺の事を利用してほしいんですよ。だから、桜井先生の様子が気になるんですよ。様子がおかしい事を見落としたくないんですよ」
そう、青山先生たちが期待する色恋沙汰ではないんですよ。
ただの、俺の懺悔。
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