春は再会の季節。

4/11
871人が本棚に入れています
本棚に追加
/257ページ
 登校初日。  多少の不安はあれど新しい環境に飛び込むのは、社会人になりたての頃を思い出させ、ワクワクした。   と、いえども、私は29歳。 社会人として7年生きてきた為、フレッシュさは皆無。  今年入社の人間は私以外は大学卒業したての若い子なわけで。何となく居た堪れない。  学校に到着し、教務員室に入ると若い男女2人が既にいた。  私もそれなりに張り切って、1本早いバスに乗ってきたのだが、若さの違いだろう。  社会に小慣れ、多少のベテラン感さえ漂ってしまっているだろう私は。2人ほど張り切って早く登校しようという考えに至らなかった。  そそくさと2人が座っているソファーに近づくと  「はじめまして。朝倉優香と申します。家庭科担当です。お名前聞いてもいいですか?? どこの学校から赴任されてきたんですか??」  キミ、アイドルになれるよ!!レベルの可愛い子が立ち上がって、それはそれはキラキラの笑顔で私を見た。    ・・・赴任されてきた??  そっか、私どう見たって新人には見えんわなぁ。   「私は・・・」  喋りだした途端  「僕は安田涼って言います」  朝倉さんの隣に腰を掛けていた男の子が突然立ち上がり、私の話を遮った。  ・・・どのタイミングで喋りだしているんだよ、安田。  「俺は、あ、僕は・・・私は??」  人の話の腰を折っておいて、出だしで躓く安田。  「何でもいいよ。別に」  呆れはしたが、やはり若さって魔法だと思う。  多少アホでもかわいく見えてしまい、『フッ』と思わず息を漏らし笑ってしまった。  「世界史担当です。安田涼です」  安田涼、2回目ですけど・・・。  「クックックッ」  ヤバイ。ツボ。何なんだ、安田。 最早肩を揺らせて笑ってしまう。  しかし、朝倉先生にはハマらず、私にだけハマる。  自覚はある。 私は他人より笑いのストライクゾーンが広い。  笑いを飲み込み自己紹介をしようとした時、ゾロゾロと教師陣が出勤して来た。  その教師陣の中に見覚えのある顔があった。
/257ページ

最初のコメントを投稿しよう!