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「ね、ネメシア……さん? あなた、一体いくつですか?」 「いくつ?」 「歳。年齢」 「19歳です」  ふらりと意識が飛びかけ、その後アメリカには飛び級という反則技があったことを思い出す。  とにかく、この少女。 (相当、頭良いぞ……?)  なんと言っても、自分の二つ歳下なのに、実力は自分の四つ上を行っているのだ。  ケントも、ネット中毒ではあるが決して馬鹿な方ではない。最低でも中の上くらいの頭は持っていると自負している。  しかし、この少女は桁が違う。それをケントは一瞬で理解した。 「……日本神話関係の本なら、いくつかあるから借りてっていーよ」  立ち上がり、本棚から関連書籍を抜き出したケントはネメシアに差し出した。 「……あー……」  しかし、ネメシアは困ったように眉を垂れる。 「どうかした?」 「実は、私はまだ日本語の表現に慣れていなくてですね……。教えて欲しいんです」 「……教える?」 「はい。できれば、読みながら」 「……読み聞かせしろと?」 「ヨミキカセとは?」 「俺がネメシアにこの本を読んで上げろと?」 「はい」  ケントより若干下から見上げる目線が、申し訳無さげに上下する。 「……いや、別に。暇だからいーんだけどさ……明日からで良い?」  先ほどまで、ネットサーフィンをしていて、いくつか見たいものがあったことを思い出しつつ言う。  そう聞くと、ネメシアはパッと顔を明るくした。 「はい! お願いします!」 「はい。じゃあ、また明日ね」  書籍を本棚に戻しつつ、椅子に戻ったケントは、礼儀正しくお辞儀をして出て行ったネメシアを見送ると、相棒であるパソコンの前に戻り、マウスを手に取った。 ──
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