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(それにしても……)  ここ、数日中のやりとりの間で、ケントはネメシアの頭脳に舌を巻いていた。  ケントの音読を聞きつつ、よく分からない表現を質問していくのがネメシアのスタイルであるが、流石というか呑み込みが早い。  初めは、流暢であると同時にぎこちなかった言葉遣いも、どんどんと成長していき、数日の内に日本語独特の表現を聞いてもいつの間にやら、聞き返さなくなっていた。  ケントが一度、「もう、俺要らないんじゃないか?」と聞いたほどである。答えは、「漢字がまだ覚束ないので、もう少し教えて下さい」だった。 「あ、そうだ」  ネメシアが二つを見比べていると、不意にケントが閃く。 「どうかしましたか?」  顔を上げたネメシアが聞く。 「いや、さ。ネメシア、その二つは日本でもメジャーなやつだけど、俺オススメのマイナーなやつ見てみる気はない?」 「できれば多くを学びたいですね」 「そっか、身になるかは分からないけど一応見せてやるよ」  そう言うと、ケントはパソコンの前の椅子に座り、キーボードを打ち始める。  ネメシアは何事かとケントの後ろに付き、ディスプレイを眺めた。  間も無くして、パソコンの画面に一つのサイトが現れる。 「これは?」 「神社のサイト。日本は色んな神様を祀る神社で溢れてるけど、その中でも神話っぽい神様を崇めてる一角だな」 「どの神様ですか?」 「残念ながら、『古事記』にも『日本書紀』にも存在しない神。天神大神(アソヒノオオカミ)だ」 「天神大神?」 「そ。この神様が登場する神話は、さっきのやつとは少し違うやつなんだ。簡単に言うと、地球人は元々宇宙人でしたって話」 「え?」  すると、ネメシアが若干前のめりになってディスプレイを覗き込んだ。背中に、柔らかいものは押し付けられ、思わずビクリとする。 「……それは、どんな話ですか?」 「え? い、いや……単に宇宙から地球に飛来した人類が俺たちの祖先ですよー、って話。読むか?」 「はい」 「じゃ、練習ついでに自分で読んでみろよ。分からないところがあったら聞いてくれ」 「分かりました」  そう言って、ネメシアとケントは場所を交換する。 ──
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