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──  日焼けのしすぎた少女のような褐色の肌、綺麗な卵型の輪郭にすっと伸びた鼻筋、明るい鳶色の瞳。  日本人的な女性が好みのケントだが、それでも黄金比に準じた顔立ちに見惚れてしまう。  背は少し高めで体は女性らしい丸みを帯びており、凹凸のはっきりしたメリハリのある身体から、すらりとした腕と脚が伸びている。  少女は少しぎこちない動作でお辞儀をすると、顔を上げて人当たりの良い笑顔を向けてケントに挨拶をする。  欧米人らしいよく通るアルトの声が発せられた。 「今日からお世話になります。ネメシア・タスカローラです。よろしくお願いします」  流暢な丁寧語で発せられたそれにケントは驚き、目をパチクリさせる。  少々、言葉が羅列されている感はあるが、綺麗な標準語だ。 (……ああ)  なんとなく、妹が事前に自分に対して念を押しておいた訳が分かるような気がした。  なんというか、非常に魅力的な女性だ。 「……お兄ちゃん?」  して、当の妹様は見惚れるケントをじっとりとした目で睨んでいた。  その言葉にハッとしたケントは慌てて言葉を返した。 「あ……俺は田中ケント。よろしく……」  すると、すっと手が差し出された。 「あ……」  その手を握り返す。柔らかい手の平がケントのそれに触れた。 炎天下を歩いてきたからか、じっとりと汗で湿っている。 「手、冷たいですね」 「ああ……。部屋でクーラーガンガンかけてるから」 「そうなんですか。後でお邪魔させて頂きますね」 「やめてくれ。何もいいもんは置いてないよ」  そんな感じの微妙なやりとりが、ケントとネメシアの出会いだった。 ──  
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