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一.未来(1)
「明日なんて迷信、信じてるの?」
少女のように幼い声。
黒と白のストライプのスカートからのぞくニーソックス。
二つに編んだ黒い髪はそこだけ空間を切り取ってあるかのようだ。
女の子はにやりと笑っている。
「誰?」
私は聞こうとして、
言葉が音にならないことに気付いた。
次の瞬間、
身体がふわりと浮く。
周りにはたくさんの気泡。
ここは水の中?息ができない。
私は手を伸ばした。
あの先にはきっととても大事なものがある。
伸ばした手は水中を虚しくかいて、
前に進むこともできない。
私の少し茶色の髪の毛がふわふわと水中を漂う。
どうしても伝えなければならない。
今。
ここで。
空気がこぽこぽとこぼれる口からやっと言葉を送り出した。
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