1.はじまり

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恵麻は立ち上がり、 制服のスカートに落ちたクロワッサンのくずを払っている。 恵麻は私の少ない理解者の一人だ。 学校にはたくさんの女の子たちがいる。 同じ制服を着て同じ空間にいて、 同じ行動をしている。 まるで工場みたいだ。 みんな、 私に何かをしてくるわけではないし、 私も普通に話す。 でも、 それだけ。 私は彼女たちに興味がないし、 彼女たちもそうだろう。 「みんな」というかたまり。 私もその「みんな」というかたまりの中の一部だ。 「みんな」は、 入学時の膝丈のスカートを それぞれ自分の脚が一番綺麗に見える長さに 調節しなければならない。 学校指定のかばんに 友だちと同じキャラクターをつけることにより どこのコロニーに所属しているのかを示さなければならない。 「みんな」のルールは絶対だ。 私を「みんな」の中から見つけてくれたのが恵麻。 そして、今、髪にクロワッサンのくずをつけたまま、 もぐもぐしているのが恵麻。
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