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恵麻は立ち上がり、
制服のスカートに落ちたクロワッサンのくずを払っている。
恵麻は私の少ない理解者の一人だ。
学校にはたくさんの女の子たちがいる。
同じ制服を着て同じ空間にいて、
同じ行動をしている。
まるで工場みたいだ。
みんな、
私に何かをしてくるわけではないし、
私も普通に話す。
でも、
それだけ。
私は彼女たちに興味がないし、
彼女たちもそうだろう。
「みんな」というかたまり。
私もその「みんな」というかたまりの中の一部だ。
「みんな」は、
入学時の膝丈のスカートを
それぞれ自分の脚が一番綺麗に見える長さに
調節しなければならない。
学校指定のかばんに
友だちと同じキャラクターをつけることにより
どこのコロニーに所属しているのかを示さなければならない。
「みんな」のルールは絶対だ。
私を「みんな」の中から見つけてくれたのが恵麻。
そして、今、髪にクロワッサンのくずをつけたまま、
もぐもぐしているのが恵麻。
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