第1章

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こんなにおかしい状況なのだから、この声の主が神様であっても、おかしくはないのかもしれない。  「あの、僕の声、僕には聞こえないのですが、あなたには聞こえているのですか?」  神様らしき人に聞いてみた。  僕にはやっぱり僕の声が聞こえなかったけれど。 「ほう、聞こえとるよ。あんたの声はよく聞こえる。」  神様らしき男は、そう答えた後、地面を棒で叩くような音を立てた。 「ほれ。」  すると、辺りが真っ白になり僕の目の前に長い白鬚を生やしたおじいさんが立っていた。 「あなたが神様?」 「そうじゃ。」 そうじゃと言い張っているから、もう僕はこの人が神様だという体でお話することにした。 「では神様、ここはどこですか?僕には、僕の身体も声も何も感じられません。この白い空間とあなたの姿しか見ることが出来ません。僕には何が起こっているのでしょうか。」  僕は不安で堪らなくて。すごく早口でしゃべった。  しゃべれているのかどうか分からないのだけれど。 「ひょっひょっひょっひょっ。」  おかしな笑い方をするじいさんだ。  神様は、長い髭を撫でながら話した。 「アンタの、死にかけておる。」  神様は、右手に持った木製の杖を僕に向けた。
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