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''生きている人のいない''薄暗い部屋で叫んだ。この叫びを聞いてくれる''人間''もいない。
薄暗く手元も輪郭程度にしかわからない。よどめく闇はまるで今の心が具現化しているかのようで恐怖を煽った。
そんな恐怖も忘れるくらいに、今までの自分が全て崩れていく感覚を感じて床にへたりこんだ。
何が起きているのかもわからない。生まれてつけてきた知識も役に立たない状況に打つ手をなくしていた。
ふと手に握られた携帯電話に目を向けると、画面は通話中。
その画面には『女神さま』なんてふざけ倒した文字。
今の絶望的な状況にこのふざけた文面など精神を逆なでされているようなものだ。
そうだ、こいつのせいだ。すべてこのふざけた奴のせい。
ついさっきまでこんなふざけた状況じゃなかったんだ。
広臣は蒸しかえるような怒りを抑えて携帯電話を耳に添えた。
「異世界ですよ!? どうです? 楽しめそうですか?」
広臣の気持ちなどいざ知らずといった声にこのまま携帯電話を握りつぶしてやろうかと思った。
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