阪口さん、秘密を知る

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(……花倉先輩ったら、誤解されるようなこと言わないでほしい) もともと掴み所のない人だけど、最近は特によくわからない。 大野くんと仲良くなってからだろうか。 以前に比べ、親しげに接してくる気がする。 それ自体は、もちろん嫌というわけではないのだけれど 先輩の場合、本心がどこにあるのかよくわからないので、混乱してしまうのだ。 「……はあ」 廊下を歩きながら、ため息を1つ。 …まあ、私の自意識過剰かもしれないし 嫌がらせをされているわけでもないのだし、あまり考えすぎるのもやめよう。 そう思い直し、先輩たちに宣言した通り、クラス展示へと向かった。 ――うちのクラスは割とシンプルな内容の展示になっている。 テーマは宇宙。 月と地球の模型や、天体写真、星座に関する神話を書いたものを教室に飾ったりする。 模型を作ったりするのはそれなりに手間だけど、展示オンリーなので、当日は受付がいれば何とか回せる。 文化部部員が多く、人手不足が予想されるうちのクラスの作戦だ。 私も当日は茶道部に居ることが多くなりそうなので、クラスでの仕事が少ないのは正直言ってかなり助かる。 その分、きちんと準備には参加しないといけないと思っているけれど。 (…そう言えば、大野くんどうしてるのかな…) クラスのみんなが恐がるからか、あまり準備を手伝っているところを見ない。 もしかして、 学園祭サボるつもりなのかな。
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