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「―――見つけた、大野くん」
「…!」
校内を探し回ること十数分。
中庭の端の、目立たないところにあるベンチに座る大野くんを発見した。
彼の足元には、小さな段ボール箱が置いてあり、中には折り紙細工の星がたくさん入っている。
学園祭でクラス展示に来てくれた人に渡す予定の、アクセサリーの飾りだろう。
この星飾りを5つ繋げてブレスレットにするのだ。
飾りは、クラス全員が最低10個は作らないといけない決まりだった。
でも意外に手間で難しいので、まだあまり出来上がっていなかったように思う。
「……一人で作ってたの? これだけあれば、きっとみんな助かるね」
「なんで、ここに…」
「…大野くんを探していたんだよ」
私はそう言うと、大野くんの隣に腰かけた。
「…暗幕、みんなすごく喜んでたよ。助かったって言って」
「なんの話だよ…。俺が用意したんじゃねえよ」
ぶっきらぼうにそう言うと、大野くんは照れたように私から目をそらす。
耳が一気に赤く染まる。
その反応だけ見ても、大野くんがやってくれたのだとすぐにわかった。
「いいよ、隠さなくて。知られるのが嫌なら、みんなには話さないから。
…暗幕用意するの大変だったんじゃない?」
「………」
少しの沈黙のあと、大野くんは顔をあげ、伺うように私をじっと見つめる。
そして隠しきれないと判断したのか、『別に』と短くつぶやいた。
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