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「…暗幕なんて、いくらでも余ってんだよ。その気になれば、すぐに集まる」
「みんなに言えばいいのに。クラスのために集めたこと」
「別にクラスのためとかじゃねえよ。暗幕が無い無いって、あんまり騒いでうるさかったから…。
大体、俺が集めたなんて知ったら、クラスのヤツはビビって嫌がるだろ…」
「そんなこと…」
ない、とは言い切れない。
さっきのクラスメイトの反応を思い出しても、容易に想像がつく。
みんなの大野くんへの印象は、あまりに一方的で偏っている。
その偏見が彼の行いに対する評価を歪め、正しいことをしても眉をひそめられてしまうほどだ。
本当は違うのに…
段ボールに入ったたくさんの星飾りを見ながら、とても歯がゆい気持ちになった。
「…そんで。アンタはそれを言うために俺を探していたのか」
「う、うん。まあ、…そう…かな。
クラスのみんな本当に喜んでたし、このまま誰も大野くんのおかげって気づかないのは、何かもったいないなって思ったし………」
「別に。感謝されたくてやったんじゃねえし…」
「…………」
「…………アンタが、そうして言ってくれるなら……
その……
それでいいよ……」
「……大野くん……」
胸がぎゅっと縮む。
甘やかで幸せな気持ちと、苦く切ない気持ち。
両方が混ざりあう複雑な胸の痛みが、私を締め付けた。
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