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「…阪口さんって、マジで天使かもしれない…」
――――ぶーーーっ!!
夢心地でつぶやいた俺の顔に、天満が吹き出したコーラが容赦なく浴びせられた。
肌もシャツも黒い液体でベトベトになり、俺は部屋にあったタオルで慌てて拭った。
「き、汚ね…。何すんだよ、天満…!」
「それはこっちの台詞だよ。最近の聡ちゃんは、すっかりお花畑で、ぶっちゃけちょっとキモいと思っていたけど、前触れもなくそんなキモいこと言うまでになったなんて…。
ボクは基本的に、聡ちゃんと阪口さんが上手くいけばいいと思っているけど、今のはキモい! キモいよ、聡ちゃん」
そこまで『キモい』を連呼することなくないか?
「…だってよー…。
…今日、阪口さんに学園祭一緒に回ろうって誘われたんだ。
すごくね? 阪口さんから誘ってくれたんだぜ。
しかも、部活の出し物も見にきてほしいって…。阪口さん、茶道部なんだ。着物姿、マジで綺麗だった。ああいうの、大和撫子っつーのかな…」
ついつい興奮のままにペラペラ捲し立てる俺を天満が生ぬるい目で見ている。
ちょっと前まで、俺の話をときに茶々をいれながらも真面目に聞いてくれていたのに、最近はすっかりこの反応だ。
二言目には、『もう付き合えばいいじゃん』と突き放してくる始末。
それでも、学校が終わると(大量のお菓子を持って)俺の家に飛んでくるところを見ると、心配してくれているのだろう。
それは阪口さんとの関係だけじゃない。
浪江のことも、だ。
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