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“天地の呪い”?“呪契”?
「なに……それ」
「選ばれし者がある条件を満たし、何かしらの代償を支払うことによって、得意な力を得ることを“呪契”といって、呪契によって得た力のことを“天地の呪い”というの。
呪いを受けた“呪契者”が能力を使う時、体のどこかに赤い文字が浮かび上がる──今のカズキのようにね」
え…?じゃあ何?僕は呪われて死んじゃうの?……いやいや、そんな訳ないじゃん。リリーの話を聞く限り、“呪契者”は呪いが発症したからといってすぐに死ぬ訳じゃないようだ。だから怖がる必要はないんだろうけど……、
熱い。暑いし熱い。
いつの間にか頭をリリーの膝の上に乗せられていたから、2つのリンゴが視界に飛び込んできて目のやり場に困る。そのせいで赤面し、暑くなってるのだろう。
それに加え額には赤い文字が浮かんでるようなので、恐らくその文字から発せられる熱によって額が焦がされているんだと思う。
「あわわわわ、でもどうしよう!カズキが凄い苦しそうだけど、どうやったら…」
というか今の今まで気づかなかったけど、どうやら僕は焼け残った大樹の下で地面に直接背をつけて寝ていたようだ。曖昧な記憶を思い返す限り、僕は炎の中で倒れたはずだから、リリーがここまで運んでくれたんだろう。
「あああ、どうしようどうしよう! っそうだ!
――"ウォーター・バンド"!」
なぜそんなに狼狽えているのかと思わずツッコミたくなったが、それよりも先にリリーが下級魔法を発動した。
リリーの手元に青い水の輪ができ、僕に向かって勢いよく飛んできた。
普通の水と違って深い青色をしているのは、リリーの魔力──自然界でいうところのマナを多く含んでいるためだろう。
こんなド田舎に暮らす僕だけど、魔法の知識は人一倍蓄えているから分かる。
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