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「…………ん…?」
梅やツツジとは違った優しい香りが鼻をくすぐり、僕・カズキは目を覚ました。
ゆっくりまぶたを開けると、文字通り目を疑うような美少女が僕の顔を覗き込んでいた。
「あ!目を覚ました!」
「え…えぇっと…?」
「よかった~、このまま目を覚まさないんじゃないかと思って心配してたんだよ?」
「え、あ、どうも…」
『このまま目を覚まさない』なんて、出会って早々恐ろしいことを言うもんだと思ったが、僕にろくな思考する時間も与えず、美少女は口を開く。
「それにしてもあなたは本当に運が良かったね。もしわたしが見つけられなかったら、今ごろどうなってたことか…」
「う、うん?」
美少女が何か呟いているが、僕の耳には音が入ってこない。寝起き直後の脳をフル回転させているため、思考する以外のことができないからだ。
「でももう安心してね!わたし特製の回復薬を飲ませてあげたから、火傷とか擦り傷とかの心配はしなくていいよ」
なぜ脳をフル回転させているのかって?
「今日一日安静にしてれば今後の日常生活に支障はないと思う」
そんなん言うまでもない。
「……誰?」
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