期待?不安?

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私とコウは店を出て 買い出しに出掛けた。 センター街は色々な人達で賑わっていた。 センター街をコウと歩くなんて信じられない。 いつもは圭織とフラフラしている景色も違って見えた。 長身でイケメンなコウは目立つ。 度々、声をかけられた。 お客さんだろうか、 楽しそうに挨拶を交わす。 ちょっと後ろを歩く私は妹とでも思われてるのだろうか…。 その度にせつなくなった。 彼女だったら手をつないでラブラブな2人を見せつけられるのに… そしたら声もかけられないかもしれない。 せっかくの買い出しデートなのにテンションが上がらない。 一言も喋らない私にコウが気づいた。 「どうした?やけに大人しいじゃん」 私は平気なフリをして 「別に!いつもこんな感じだし!!」 強がってコウの前を歩き始めた。 しばらく歩くと さっきまで感じてたコウの気配を感じない。 振り返ると (コウがいない💧) 「え?コウ?」 辺りを見てもコウの姿は見えない。 (どうしよう…はぐれちゃったょ) 周りの賑やかな声と 沢山の人ごみの中で独りぼっちになった私は とてつもなく寂しくなった。 キョロキョロしていると 背後から声をかけられた。 「ねぇ、誰かと待ち合わせ?良かったら一緒に遊ばない?」 (こんな時にナンパされるなんて…) 自分が情けなくて 今まで我慢してた涙が溢れだした。 「うわーん…コウ…」 男は、大声で泣く私にびっくりした顔で 「コウってhoney's barのコウ?」 「知ってるの?」 思わず泣き止んだ。 「俺、よくあの店行くから!」 ニコッとした笑顔は 少し怖かったけど コウの友達かもしれないと分かり安心した。 男は 「もしかして、コウの彼女?」 探りを入れてきたので、 悔しいけど 「違うょ」 と答えた。 男は、彼女じゃない事に安心したように 「ここじゃ何だし、向こうで話さない?」 と言って私の肩に手を回し歩き始めた。 男の強引さに戸惑いながらも 男に身を任せて 歩いた。
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