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「今まで誰とも付き合ったことがないわけではないんでしょ?」
わたしが彩菜を追いかけて隣に並ぶと、すぐに彩菜はそう言った。
「うん、一回だけ付き合ったことあるよ。変人って言われて嫌われちゃったけど」
苦い思い出。思い出したくもないけど、その元彼の顔は黒いシルエットでしか思い出せない。
気付かない間に苦い顔をしていたのか、彩菜が謝ってきた。
「なんで謝るの。ていうか、今日どうしたの? なんか変だよ」
「変じゃないよ。本格的に夕子が心配になってきたの」
わたしに言わせれば、高迫くんを無下にしすぎる彩菜のほうが心配だよ。
黙っているわたしに構わず、独り言のように喋り続ける彩菜。
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