第1章

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「夕子が気に入った人はあの人だけだったわけだから、あの人を見つければいいわけなんだけど、それが難しい。高迫くんに久し振りにメールしてみようかな。そしたらなにか分かるかも……」  ちょ、ちょっと待った。 「高迫くんと連絡も取りあってないの?」  当たり前でしょ、と言う顔で頷いた彩菜に脱力した。 なんでも面倒くさがる彩菜。 そこまで面倒くさがっていたとは。 「わたしをネタにしていいから高迫くんと連絡取って。今すぐ!」 「ネタって。私夕子をネタになんかしないよ」  そう言ってなかなか高迫くんにメールを送ろうとしない彩菜のスマホを奪って、わたしが代わりにメールを送る。 ああ、と隣で声を上げた彩菜にスマホを返す。  ちょうどわたしの家の前だった。 「高迫くんと仲良くね」
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