第1話

第1章

　いつもなら絶対言えないことを半ば早口で言う。

彩菜は不機嫌になる。

どうして彩菜がそんな反応をするのか訊かないくせに、わたしは、仲良くしてね、と念を押して家の中に入る。

彩菜がどんな顔をしているのか分からないまま扉を閉めた。

　高迫くんとわたしはいわゆる幼なじみというやつだけれど、少女マンガであるような恋愛関係になったことはないし、意識がある頃に遊んだ思い出はあるけれど、小学生高学年の頃にわたしは一度引っ越したから中学は別だったし、出戻りしてきた今でも幼なじみという関係がないかのような無関心さのふたり。

唯一わたしと高迫くんを繋ぐのが彩菜だ。

わたしは高迫くんとは話さないし、高迫くんの話を彩菜から聞いたりもしないけれど、勝手に関わっていると思い込んでいる。