第1章

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 家の中は静寂に包まれている。 誰もいないから当たり前だけれどそれが寂しい。 隣に温もりを感じることが出来ないのが寂しい。 そう思いながらいつものように冷蔵庫を開けると、今日はゼリーがあった。 「おやつ」と書かれた紙が貼ってあるゼリーをひとつ冷蔵庫から出してテーブルの上に置いて、制服のまま椅子に座って食べ始める。  ゼリーを食べ終えてぼんやりしていたわたしの耳に玄関が開く音と、ただいまーという声。 「おかえり」  リビングに入ってきた、とてとてと歩く足音の主に向かって声をかける。 「ただいまお姉ちゃん」
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