第1章

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「夕子、またお前か」  隣に誰か立ったなと思いつつもロッカーをがさごそしていたわたしに呆れた声で話しかけてきたのは数学の小林先生。 すごくフランクな先生で苗字じゃなくて名前で生徒を呼ぶ。 「だって先生、わたしのロッカー、毎日土砂崩れですもん」 エブリデイ土砂崩れ。女子力を疑うよね。 女子力以前に清潔感、か。 「意味分からないこと言ってないで早く教室入れ」 苦笑いで許してくれる小林先生に少しだけ感謝しながら、ロッカーを再び漁ると、ありましたよ。 国語の教科書とノートの間に数学の教科書が! なんで国語ゾーンに数学が紛れ込んでるの、と思いながらゆっくり急ぎはせずに教室に入る。
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